雌性生殖器の解剖学

 

 

Esther van Praag, Ph.D. – translation by Atsushi Fukuda, DVM

警告: このページには、一部の方にとって不快と思われる画像が含まれています。.

メスうさぎの生殖器は、原始的なものだと考えられています。実際、2つの子宮角が分かれている子宮(重複子宮)は、産卵する哺乳動物の単孔類と、ウサギ類(ナキウサギ、ノウサギ、アナウサギ)でしか見られません。子宮は脊椎の4箇所に固定された広間膜によって、定位置に固定されています。

性分化は受精から16日目の胎生期に起こります。胎児精巣近傍にある細胞塊から、卵巣が発育します。卵巣の発達に伴い、精巣は退行します。

卵原細胞(メスの生殖細胞)の発達は、およそ21日目から始まり、およそ30日目の出産時まで続きます。最初の卵子と卵胞の発育は、出生後たったの13日目に起こります。

メスうさぎの生殖器は重複子宮といわれる構造です。子宮は2つの独立した子宮角からなり、その全長(7cm前後)に渡って互いに隔絶されています。各子宮角には、それぞれ固有の頚部があります。楕円体で最大長が11.5cmある卵巣は、子宮の末端かつ、腎臓の直下に位置しています。卵巣は子宮広間膜(子宮を隔て包んでいる幅の広い靭帯)と脂肪で隠れています。

 

雌性生殖器の外観と、開口部の両側に位置する1対の臭腺(鼠径腺)およびその分泌物。

Orifice urogenital = 外陰部の開口部

Glande anale avec secretion = 鼠径腺とその分泌物.

膣には何も特徴がありません。この部分が生殖器系に占める割合は大きく、また膣前庭のレベルで尿道と接続しています。膣の末端部にはバルトリン腺と包皮腺が認められます。.

性成熟に達する月齢は、うさぎのサイズと品種により異なります:小型種と中型種は46か月で成熟します。大型種では58か月かかります。原則として、成獣の7580%のサイズに達すると大人であり、繁殖可能になります。

メスうさぎには、犬や猫のような、定期的に発情が訪れる発情周期がありません。実際、メスの成うさぎはほぼ常時発情している「交尾排卵動物」です。つまり排卵は交尾の刺激により誘起され、交尾から913時間後に自動的に排卵します。

 

メスうさぎの生殖器、および卵巣子宮摘出術時の卵巣、子宮角、膣の一部の外観

周期的な発情は存在しません。女性ホルモンがあることで、外陰部の大きさと色は影響を受けます。大部分のメスうさぎは外陰部が赤もしくは紫色の時にオスを受容し交尾します。そして外陰部が青白く小さい時には交尾を拒みます。しかし外陰部の色形ははっきりとした指標にはなりません。一部のメスうさぎはたとえ外陰部が青白く小さくとも交尾をします。

交尾や健康(卵巣腺癌、子宮内膜症)の問題を回避するためには、あるいは望まない出産を避けるためには、卵巣子宮摘出術が推奨されます。生後6か月齢から手術は可能です。手術に先立ち、うさぎの品種特性を考慮する必要があります。

謝辞

VEIN (Veterinary Exotic Information Network, http://vein.ne.jp/)より画像使用許諾を下さいましたAkira Yamanouchi氏に深謝申し上げます。

Veterinary Exotic Information Network,).

Further Information

Elizabeth V. Hillyer,Katherine Quesenberry,Sandra Valkoff (1997) Ferrets, Rabbits and Rodents: Clinical Medicine and Surgery. Saunders W B Co.,  p. 230.

K. Laber-Laird, P. A. Flecknell, M. Swindle (1996) Handbook of Rodent and Rabbit Medicine. Elsevier Science, p. 243.

C . A Mc Laughlin, R. B. Chiasson (1990) Laboratory Anatomy of the Rabbit. McGraw Hill, p. 83.

  

 

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