うさぎのアンモニア中毒

 

 

Esther van Praag, Ph.D. – translated by Atsushi Fukuda, DVM

 

 

アンモニア(NH3)は重いガスで、高濃度になると有毒です。わらくず、尿、糞便が細菌により分解されて生じ、温暖な条件だと産生が促されます。そのため、アンモニア中毒は冬よりも夏場によく見られます。.

アンモニアは、うさぎの呼吸器を覆う粘膜細胞によって速やかに吸収され、刺激性の高いアルカリ分子へと変換されます。すると呼吸器上皮で細菌感染に対する防御を行っている、粘膜毛様体細胞を破壊します。

 

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典型的な臨床症状は、上部気道疾患です。鼻炎や結膜炎を起こします。

アンモニアは有害な分子ですが、アンモニア中毒はしばしば、呼吸器疾患の鑑別診断から外されてしまいます。この疾患は商業的なうさぎ飼育施設でよく見られ、ご家庭で衛生的に飼育されているうさぎでは、ほとんど見ることがありません。

アンモニア中毒は、定期的にトイレを清掃し、換気を行うことで、予防できます。

臨床症状

この疾患は、アンモニアに曝露された期間と、空気中のアンモニア濃度によって、いくつかのステージに分類できます。

ごく初期には、典型症状は上部気道疾患に限定されます。鼻や眼からの分泌物、眼瞼の腫脹、角膜への刺激、くしゃみ、いびき、そして稀に発熱が見られます。

治療を行わずに放置した場合、咽頭と気管の炎症が起こり、続いて下部気道疾患に至ります。この段階になると、粘膜線毛が破壊され、免疫が障害されるため、二次的な細菌感染が生じ得ます。また疾患が急性増悪し、呼吸困難と、時には発咳が見られます。うさぎはしばしば呼吸困難からくる食欲不振、沈鬱と、チアノーゼ(舌、唇、歯肉が酸欠により青く変色します)、発熱ないし低体温を示します。

この段階でうさぎを清潔で換気の良い場所に移したとしても、治療は難しく、しばしば慢性化します。

この段階でうさぎを清潔で換気の良い場所に移したとしても、治療は難しく、しばしば慢性化します。see: Upper respiratory tract disease in rabbits.

Further Information

1.  Boucher S, Nouaille L. Maladies des Lapins. Manual pratique. Editions France Agricole. 2002. pp 182-183

2.  Kruckenberg SM, Cook JE, Feldman BF. Clinical toxicities of pet and caged rodents and rabbits. Vet Clin North Am. 1975;5(4):675-84. 

3.  Makarenko ON, Skorik LV, Mel'nichuk DA. The characteristics of nitrogen metabolism in the tissues of rabbits with ammonium toxicosis. Ukr Biokhim Zh. 1992; 64(6):105-9.

 

 

  

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