うさぎの”ヘッドダウンシンドローム(頭部下垂症候群)”

 

考えられる原因

 

 

 

Kathleen Bourdelais

Midnight(黒いうさぎ)は、他の2頭のうさぎと幸せに暮らしていました。頭部を上げられなくなるまで、健康状態は良好であり、頭部は真っ直ぐで、第三眼瞼は露出していませんでした。

ヘッド・ダウン・シンドローム(頭部下垂症候群)は、急性発症する疾患です。フロッピー・ヘッド・シンドローム(頭部虚弱症候群)あるいはドロップト・ヘッド・シンドローム(頭部下垂症候群)とも呼ばれるうさぎの疾患です。うさぎの頭部が前(下)方に曲がってしまい、うさぎは頭を上げることができません。頭部の下垂は、頚部虚弱または頚部伸筋収縮により起きています。すると重力に逆らって、頭を持ち上げることができません。側方へのねじれはありません。その結果、動くことを嫌がり、食欲低下、疼痛などの症状が見られます。

注意:うさぎは滑らかですべる床の上では非常に不安を感じます。(特にかじることが好きなうさぎには)自然な素材でできたラグやタオルを敷いてあげて、うさぎが足を滑らせないよう、そして滑ることで事故が起こらないようにしてあげましょう。

Kathleen Bourdelais

ヘッド・ダウン・シンドローム(頭部下垂症候群)に罹患したうさぎは、頭を上げることができず、動くことを嫌い、第三眼瞼が露出します。発症した初日には、(消化管)うっ滞のような症状も呈しました。2日目からは急速に食欲は回復しました。

全身的な身体検査、血液検査やレントゲンといった検査、そして病歴聴取を徹底しても、この疾患の原因は不明なままです。頚部の筋肉が虚弱を呈しているのか、あるいは過度の拘縮が起きているのかを鑑別することが重要です。典型的には、頚部虚弱は以下のカテゴリーのいずれかに分類できます:運動神経疾患、自己免疫性疾患(重症筋無力症のような)、筋の炎症性疾患(多発性筋炎のような)、あるいは特発性。一方で頚部筋肉の拘縮は、斜頸または神経毒が関連しています。頭部の屈曲は側方ではなく、前方であることから、エンセファリトゾーン・クニクリの活動的感染や、中耳/内耳感染は関係がありません。

A few years ago, rabbit presented the exact same clinical features and blood chemistry results and vets were amazed about his condition too: Twilight.

A closer analysis of the blood chemistry panel of Midnight and Twilight indicates high liver values (AST, ALT, Alk Phosphatase) and a low level phosphorus (hypophosphatemia). Hypophosphatemia has typically been associated with fulminant hepatic failure as well as increased metabolism of phosphorus during hepatic function recovery and hepatocyte regeneration. A working hypothesis is that these rabbit may have suffered hepatic encephalopathy as a consequence of fulminant liver failure and a raised level of blood ammonia.

Blood chemistry panel of Midnight. It shows close parallels with that of another rabbit, Twilight, who suffered a similar disease a few years ago. This could be indicative of hepatic encephalopathy.

(click on the picture to see the full results of the blood test)

予後は良くない、あるいは注意が必要です。治療には支持療法、抗菌薬、輸液、疼痛緩和、必要に応じて強制給餌などを行います。大部分の動物は、7から14日の間に回復します。All affected rabbit recovered within a week.

下記の表は他の草食動物(馬、牛、羊、山羊)で見られる、頭部挙上困難の原因のリストです。その他の要因も除外できません。

神経毒要因

クロストリジウム属の多くが産生する神経毒が、感染した動物の血中に入ることで生じる。筋肉の痙攣を起こす。

クロストリジウム・ボツリナムによるボツリヌス症が、産業草食獣で見られます。腐敗した干草が感染源となります。脳神経群の障害により、頭部が下垂します。また、四肢の虚弱(四肢不全麻痺)や反射低下を伴うこともあります。

ダニ麻痺。一部のダニ類は宿主に咬みつく際に、唾液中に毒素を放出することが知られています。アメリカに生息するデルマセントル属の一部と、オーストラリアに生息するイクソデス・ホロチクルスです。通常、局所の麻痺(不全対麻痺)から四肢不全麻痺、あるいは四肢麻痺へと進行し、随伴して脊髄反射の低下あるいは消失が起こります。

クロゴケグモの毒素。筋虚弱により頭部が下垂します。随伴して、眼瞼浮腫、流涎、疼痛、および/または呼吸困難を起こすこともあります。

 

細菌要因

化膿性肉芽腫性髄膜脳脊髄炎から脊椎後弯症に至り、頭部と頚部が強直して挙げられなくなります。罹患動物は協調運動失調、四肢の協調不能を呈し、動くことを嫌います。無治療でいると頚部の筋肉群の萎縮が起こります。

脊椎の感染

 

Liver disease

Hepatic encephalopathy

 

脊椎異常

前屈症

強直性脊椎炎

脊椎骨折

 

神経障害性疾患または神経筋障害

重症筋無力症により頚部筋群の虚弱が起こります。通常、前肢の虚弱と、食物嚥下困難を伴います。

運動神経障害

可逆性脱髄性(多発)ニューロパシー

 

ミオパシー

筋炎

筋ジストロフィー

先天性ミオパシー

 

ホルモン要因

甲状腺機能低下症

 

機械的要因

外傷

脳腫瘍または脊髄腫瘍

 

薬物

特定の吐き気止め

フェノチアジン

原因により、頭部挙上困難は可逆的なことも、不可逆的なこともあります。回復はふつう早く、1週間以内に回復することもあれば、数週間から数か月を要する場合もあります。予後は良くない、あるいは注意が必要です。治療は支持療法、抗菌薬、輸液、疼痛緩和、必要に応じて強制給餌を行います。

 

うさぎのMidnightの情報・画像・ビデオをご提供下さいました、Kathleen Bourdelais, Suzanne Trayhan and Bonnie Salt各氏に深謝申し上げます。

 

  

e-mail: info@medirabbit.com