飼育うさぎへの給餌7:ペレット

 

 

Camilla Bergstrøm – translated by Atsushi Fukuda, DVM

 

 

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ペレットは栄養価の異なる複数の原料から作られています。うさぎの成長と健康維持に必要なエネルギー、ミネラル、ビタミンが濃厚に含まれています。新鮮な食物にもビタミンやミネラルが含まれていますが、必須脂肪酸のような一部の栄養素が不足しています。こうした栄養素が欠乏しても、短期的にはうさぎの健康を害することはありませんが、長期的には健康状態を損なう恐れがあります。

Tal Saarony

原材料から高栄養のペレットを形成するため、嵩を減らしてあるだけではなく、うさぎの消化管内で消化吸収がしっかりできるよう計算して作られています。

ペレットには必要なミネラルとビタミン類が含まれていますが、水は含まれませんので、水をよく吸収します。そのためボトルでも陶器でもよいので、いつでも清潔な水を飲めるように用意しておく必要があります。もし十分量の水を飲めないと、体組織から水分が奪われてしまいます。

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ペレットは多くの水を吸収します。乾燥したペレット(下段)は小さくできています。しかし水を吸収して、元の何倍もの水を吸収します(下段)。

一部の国々では良質のペレットがなかなか市販されていません。良いブランドは粒子の大きさが2.5~4mmです。それより粒子が小さいと消化管通過時間が延長し、特に盲腸に滞留する時間が延長します。盲腸での発酵が過ぎれば、下痢のような消化器疾患を引き起こします。ペレットには最低限18%の粗繊維、12-14%のタンパク質、最大3%の脂質、そして0.5-0.8%のカルシウムが含まれているべきです。大雑把に言って、粗繊維量は常にタンパク質量より多くなければいけません。

少量の糖蜜がペレットに含まれているかもしれません。糖分過剰を避けるために、カラメル状にしてあります。

エクストルーダーによる成型の過程で、タンパクとデンプンの変性が起こります。タンパク質の構造は壊れますが、アミノ酸構造は保たれます。そのためサルモネラ属菌のような病原微生物は殺菌されます。ペレットに含まれるデンプン量は低値であるべきです。若齢うさぎにおける消化性向上と消化器疾患防止のために、穀物由来のデンプンをゼラチン化させることがよくあります。

成長期のうさぎ(6か月齢以下)には無制限にペレットを与えます。6から9か月齢になったら、品種の大小に応じて、体重6ポンド(およそ2.7キログラム)あたり1/2から1/4カップのペレットを与えます。繰り返しますが、個々のうさぎの栄養要求量を考慮します。一部のうさぎは増体率が高く、ペレット要求量は少なくて済みます。同じことが、繁殖時のメスうさぎ、病気のうさぎ、あるいは手術後の回復期のうさぎにも言えます。避妊および去勢手術後のうさぎに与えるペレットの量は、術前よりも少なくします。

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Stampi,AdarGrisjjeの食餌の一部にペレットを与えています。

ペレットは健全な食餌の一環として重要なものであり、ビタミンとミネラルのバランスをとるためには欠かせないものです。しかしペレットに含まれるカロリーは多く、多く与え過ぎれば肥満となります。給餌量の制限と、ご自身のうさぎをよく観察することが重要です。一部のうさぎ飼育経験豊富な飼主たちによる調査によると、ペレットを計量して12回与えられていたうさぎは、ペレットを好きな時に食べられるようにしていたうさぎと比較して、ガス貯留やうっ滞といった消化器障害をはるかに起こしやすかったという結論に達しました。牧草はいつでも食べられるようにしていたにも関わらずです。原因として疑われるのは、ペレットを制限されたうさぎが空腹のまま、次のペレットを待っていたという可能性です。そうしたうさぎがペレットを与えられると、一気に食べ尽くしてしまい、よく咀嚼して唾液と混ぜ合わせることをしていなかったのだと推察されています。 

 

  

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