流涎症の鑑別診断

(唾液の過度な産生)

 

 

原因が見つからなかったり、あるいは治療により過剰な唾液産生が止まらないと、局所の脱毛が生じて、炎症を起こした皮膚が露出します。こうした状態は疼痛を伴います。二次的な皮膚への細菌あるいは真菌の感染が起こり得ます。

 

写真提供: Kim Chilson

うさぎのAnnaは、歯科疾患や切歯抜歯と関連しない流涙症など、いくつかの疾患に苦しんでいます。

 

 

症状

鑑別診断

 

流涎症は急性か慢性かに分けられます。どちらのケースでも、過度な唾液産生の原因は様々です。

 

急性流涎症

喉頭蓋炎

新生物または腫瘍の存在

アブセス(膿瘍)の存在

疼痛

 

慢性流涎症

神経的外傷(例:脳卒中)

薬剤(鎮痛薬、鎮痙薬、コリンエステラーゼ阻害薬) 

鼻腔閉塞(例:ポリープ)

舌の大きさ

頭位

座位ないし横臥位

ストレス

狂犬病や破傷風などの感染症

 

 

歯科疾患に関連した流涎症の要因

 

細菌に起因するもの

歯根膿瘍

舌炎

頬膿瘍

 

口腔または胃腸に起因するもの

口腔潰瘍

エプーリス(歯肉の腫瘍または過形成)

口内炎(細菌、ウイルス、真菌の感染や、ある種の化学物質ないし薬剤への暴露、ビタミン欠乏などの結果生じる、口腔内の炎症)

鼓腸症あるいは胃や盲腸への異常なガス貯留。この場合、胃の拡張が触知され、うさぎは痛がる。

胃食道逆流

胃拡張

急性胃炎(胃内壁の炎症)、原因として外科手術、アスピリンその他の薬剤、食餌アレルゲン、ウイルス・細菌・化学物質の存在。

膵炎(例:胆石、感染、薬剤性)

消化器疾患(例:肝臓病)

 

 

呼吸器に起因するもの

咽頭、気管支、肺の炎症(例:肺胞膿瘍)

咽頭炎に伴う空気抵抗の増大により、呼吸困難を起こし、一症状として流涎症が起こる。

 

心血管系に起因するもの

門脈体循環シャント、先天的/後天的血管異常により門脈血が肝臓をバイパスして、直接体循環へと入る。小動物では、流涎が特徴的な所見。

 

食餌

栄養欠乏、例:慢性フッ素症、亜急性壊血病

 

機械的な要因

臼歯間に挟まった異物(例:干草、毛)

歯冠の過長(例:歯棘)

切歯の不正咬合

破歯細胞性病巣(歯肉縁部位における小~大きいエナメル質欠損)

歯折

下顎骨骨折

舌および/または歯肉の傷、潰瘍

 

神経に起因するもの

ストレス

疼痛

 

中毒

薬剤  

毒素

中毒

 

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