どうしてうさぎのボディ・コンディション・スコアをつける必要があるのか?
by vet, Brigitte Reusch
ボディコンディションスコアとは、多くの動物と人間で使われる手法で、その個体の体格が適正か、やせすぎ、太り過ぎがないかを評価するものです。肥満はコンパニオンアニマルで広く見られる問題であり、残念ながらうさぎでも見られます。エディンバーグ大学獣医学部のうさぎクリニックへ診療に訪れるうさぎの4頭に1頭が肥満です。
2010年4月26日から5月2日の、イギリスうさぎ啓発週間のテーマは肥満です。イギリス国内の多くの動物病院で、うさぎの無料健康診断とボディコンディションスコア計測が行われます。飼い主もスコア計測方法を学ぶことができます。 うさぎのボディコンディションスコアを見た目で判断するのは、特に(大部分の)長毛種では困難です。長い被毛によって骨盤、肋骨、背骨の見た目が分からなくなります。一方で短毛種(レッキス種など)では、それらの部位が実際よりも不正に見えたり、強調されて見えたりします。ボディコンディションを評価するために唯一信頼できる方法は肋骨、骨盤、背骨の触診です。体重も記録しておき、そのうさぎの体重が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを判定します。
ペットとして飼われているうさぎは品種によって体重にかなりのばらつきがあり、平均1kgのネザーランドドワーフから、8kgのコンチネンタルジャイアントラビットまで様々です。さらにペットうさぎの大半を占めているのは、ミックス種です。ですから体重表は目安に過ぎず、そのうさぎが太っているのか判断する材料にはなりません。うさぎはしばしば、その品種の特徴から逸脱しているものです。 ボディコンディションスコアはその動物が太っているかを判定する方法で、筆者は猫や犬、家畜で使われている方法をうさぎに合うよう改良しました。前述の動物たちでは、肋骨、腰、背骨を触知してスコアをつけます。筆者はうさぎに脂肪がついた際に、体のどの部分に変化が出るかを調査しました。その結果、肥満を見つけるのに一番簡単で、一番信頼性があるのは、肋骨でした。背骨や腰は極端にやせているか、極端に脂肪がついたうさぎでなければ変化が見られませんでした。 うさぎの触診を行うには、肘のすぐ後ろの肋骨を触ります。うさぎが太っていると、肋骨を触るためにより強く圧迫しないといけません。またやせたうさぎでは肋骨縁が鋭く尖って感じられます。逆に太ったうさぎでは、肋骨縁を触知するのが難しくなります。うさぎの肋骨は、皮下脂肪のわずかな変化が分かりやすい部分なのです。下記の表はうさぎのボディコンディションの一覧です。 うさぎのボディコンディションスコア :
うさぎを連れて動物病院へ体重測定に行きましょう 毎月、うさぎのボディコンディションスコアを記録しておきます。スコアが高すぎる、または低すぎたら、医学的な問題を抱えていないか獣医師の診察を受けましょう。うさぎが一見、健康そうに見えても、定期的に動物病院での体重測定を行います。多くの動物病院ではサービスで体重測定をしてくれるでしょう。体重とボディコンディションスコアの双方を測定し、記録しておき、最適な体重と体型の目標を設定します。そしてうさぎを2週から4週おきにクリニックへと連れて行き、当初の体重から週に0.5〜1.5%の減量を目標にします。肥満うさぎには脂肪肝のリスクがありますので、減量は徐々に行うことが肝要です。 病院での体重測定の他にすべきことは? うさぎの足先から踵、あるいは手関節までの部位には、被毛に隠れて重度の足底皮膚炎が生じていることがあるので、よく調べます。会陰部(肛門の周囲)は健康なうさぎではきれいなはずです。被毛に尿や糞の汚れがないかチェックします。 うさぎのダイエット方法 うさぎに現在与えている食餌を、うさぎ用・人用のおやつも含めて、全て詳細に記録します。毎日の習慣や、運動量も記録しておきます。全てのうさぎは干し草を主食として与え(少なくとも食餌の70〜80%)ますが、これは少なくとも一日に、うさぎの体のサイズと同じくらいの量の干し草を食べることに相当します。その他の葉物(乾燥した葉を含む)も与えます。葉物や干し草は本来、糖質やでんぷんが少なく、繊維が多いので、これが消化管と歯の健康維持に不可欠です。干し草が主食となりますので、香りの良いものだけを与えるようにします。ほこりっぽい干し草や、かびくさい干し草はいけません。市販のラビットフードは少量だけ与えるようにします。小型から中型のうさぎには、1日に1頭あたりティースプーン1杯を上限とします。大型種では1日に1頭あたりティースプーン2杯を上限とします。うさぎの減量がうまくいかない場合には、ラビットフードの給餌量を減らすか、全く無しにしてしまいます。 市販のラビットフードにはビタミンとミネラルが添加されていますが、高品質の干し草や葉物を与えられているうさぎには、そのような栄養補助は不必要です。市販のラビットフードの与えすぎ、チョコレートビスケットのような人のおやつを与えてしまうことが、うさぎの肥満のよくある原因です。 うさぎには21箇所以上の味蕾があり、食餌の多様性を楽しむことができます。手のひらに山盛りの量の葉物野菜、繊維質の野菜、野草を朝夕に与えてあげることで、よりよい飼育環境を与えられるだけでなく、カルシウムやビタミンの供給源となります。 減量中であっても、ごちそうを与えることもできます。うさぎに良いごちそうの例として、ハーブの若葉や、バラの花のような食べられる花が挙げられます。減量中には、根菜類やフルーツの給餌は避けるべきです。うさぎのボディコンディションスコアが3になったなら、少量のフルーツ(りんごやナシを1/8個、あるいはベリーを4つ)、あるいは少量の根菜(にんじんやカブを1/4個、あるいはカブハボタンを1/8個)与えても良いでしょう。新鮮な飲み水をいつでも用意しておきます。体重維持のための食餌がうさぎとその現在の生活スタイルからして高カロリー過ぎないかチェックするために、継続して体重測定とボディコンディションスコアの計測を行う必要があります。うさぎのボディコンディションスコアが3まで落とせたならば、その時点の体重を記録し、理想体重とみなします。
運動 うさぎに運動する機会を与えて運動させるようにすることは、減量計画の一部として非常に重要です。うさぎは明け方と夕暮れ時に非常に活発になる性質がありますので、少なくとも1日2回、30分ずつは屋根付きの部屋や家の中、あるいは安全な庭で見守りながら、運動させることがおすすめです。 おいしいおやつ(市販のラビットフードを含む)を牧草でできた箱やフードボールに隠しておいて、うさぎの好奇心を刺激してあげるのも良いでしょう。運動したがらないうさぎには、飼い主の後について来たら手からおやつを与えるのも良い方法です。高齢のうさぎでは関節炎がよく見られるので、徐々に運動量を増やすことが推奨されます(小型・中型種では6歳以上、大型種では4歳以上)。 肥満とその関連疾患の予防のために、定期的にクリニックで体重測定して食餌の見直しをすることが推奨されます。エディンバーグ大学獣医学部のうさぎクリニックでは無料で体重検診をしています(www.rabbitclinic.com)。かかりつけの動物病院でも同様の検診をしているか調べてみましょう。
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